こんにちは。
先日春分で書きました、「肝」について考えてみます。
中医学では五行学説といって、自然界の基本の物質を木(もく)・火(か)・土(ど)・金(きん)・水(すい)に定めています。
そして、五臓六腑を同じような性質のものに当てはめて考えます。
木・春→肝・胆 火・夏→心・小腸 土・梅雨→脾・胃 金・秋→肺・大腸
水・冬→腎・膀胱
春の臓腑は「肝」です。
ここでいう肝と、西洋医学でいう肝臓とはちょっと違います。
中医学でいう「肝」の働きはたくさんあります。
今日は肝の疏泄という働きについて。
疏泄というとなんだか難しいですが、要するに気の流れをコントロールすることです。
「気血同行」といって気と血の動きは連動しますので、血液循環も正常に保ちます。
水の動きにも気の動きが必要ですので、水の代謝にも影響します。
気の流れのコントロールがうまく行かないと、気滞や気鬱といった状態になってしまいますので、感情にも大きく影響が出てきます。
小さい子供がギャーっと癇癪を起こすことを「疳の虫」と言いますが、まさにそれです。よく言う「ギャン泣き」ですね。
不快な感覚に敏感な子なのでしょう。消化機能が未発達な影響もあると考えられます。
年齢が高くなり、感情のコントロールがうまくいかなくなって、すぐに怒りだすお年寄りも多く見かけます。
やはり、これも気の動きが滞ってしまっている状態です。
気滞の状態が長く続くと、体の内側に熱が生まれてしまいます。熱は上に上りやすいため、かーっとなってしまうようです。
お年寄りは筋肉量も少なく、食事量や水分摂取量も少なくなっている方が多いので、より内熱が現れやすくなってしまいます。
医療現場では「抑肝散」という漢方薬がそのような場合に良く処方されます。
これは、血を補い、流れを良くする生薬、気を補い、消化機能を高める生薬、肝の熱を冷ます生薬、心(精神をコントロールする臓腑)の働きを整える生薬でできています。
ストレスで気血の流れが滞り、消化機能が落ちて、栄養や水分が十分吸収できない状態を改善する漢方薬です。
春は新しい事がはじまる事が多い季節です。
無理せず、ゆったりと構えて過ごしたいですね。
読んでいただきありがとうございました。
皆さんの養生の参考になれば嬉しいです。
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